色の三原色と光の三原色の違いは引き算と足し算!混ぜると変わる色の謎

    パレットの上で絵の具を混ぜるほど、色はどんどん黒く濁っていく。

    ところが、パソコンの画面はどうでしょう。 様々な色が重なり合っているはずなのに、暗くなるどころか明るく輝いています。

    「色を混ぜる」という同じ行為なのに、 なぜこんなに結果が変わるのか。

    この「色の三原色と光の三原色の違いである、混ぜると変わる色の謎には、引き算と足し算というに科学的でとても面白い理由が隠されていました。

    ▼この記事でわかること

    • 色の三原色と光の三原色の根本的な違い
    • 「減法混色」と「加法混色」の簡単な仕組み
    • CMYKとRGBを正しく使い分ける方法
    • 印刷で色がくすんでしまう失敗を防ぐコツ

     

    「色の三原色」と「光の三原色」混ぜると変わる色の謎

    私たちの身の回りには、 たくさんの色があふれています。

    そのすべての色は、 たった数種類の色を元に作られているのです。

    しかし、その元となる色には、 性質が全く異なる二つのグループがありました。

    この違いが、混ぜると変わる色の謎を生み出していたのです。

    【体験談】絵の具とモニターで違う「色の常識」

    図工の時間に「色を混ぜる」と、どんどん色が暗くなっていきました。

    赤、青、黄色を混ぜていくと、最後には濁った黒っぽい色になります。 これは誰もが体験したことのある現象でしょう。

    一方で、パソコンでデザイン作業をしている時。

    色を重ねても、絵の具のように濁ることはありません。 むしろ明るくさえなります。

    この「混ぜると変わる色の謎」は、多くの人が一度は不思議に思ったはず。

    この違いの答えは、 二つの「三原色」の性質に隠されています。

    なぜ?すべての色の基本「三原色」の違い

    三原色とは、 他の色を混ぜ合わせても作れないすべての色の元となる基本的な三つの色を指します。

    そして、この三原色には「色の三原色」と「光の三原色」という二つの種類が存在します。

    この二つは全くの別物。

    だからこそ混ぜると結果が正反対に変わるのです。

    なぜ黒くなる?「色の三原色」減法混色の仕組み

    なぜ黒くなる?「色の三原色」減法混色の仕組み

    まずは、 絵の具や印刷インクでおなじみの、 「色の三原色」から見ていきましょう。

    こちらは「減法混色」という仕組みで色が作られます。

    言葉は少し難しいですが、 原理はとてもシンプルですよ。

    プリンターのインクCMY(シアン・マゼンタ・イエロー)

    色の三原色は、

    • シアン(Cyan):明るい青緑
    • マゼンタ(Magenta):鮮やかな赤紫
    • イエロー(Yellow):黄色 の三色です。

     

    プリンターのインクカートリッジで、 この色の組み合わせを見たことがある人も多いでしょう。

    それぞれの頭文字をとって「CMY」と呼ばれます。

    「混ぜると変わる」のは光の引き算が理由

    では、なぜCMYを混ぜると黒く変わるのか。

    それは、私たちが見ている「モノの色」が、 光の反射によって決まるからです。

    例えば、リンゴが赤く見えるのは、 太陽や電灯の光がリンゴに当たった時、 リンゴが「赤い光だけを反射」しそれ以外の色の光を「吸収」しているためです。

    絵の具を混ぜるという行為は、この「吸収される光の種類を増やす」行為なのです。

    シアンは赤い光を吸収します。

    マゼンタは緑の光を吸収します。

    イエローは青い光を吸収します。

    つまり、CMYの三色をすべて混ぜると光のほとんどが吸収されてしまい反射される光がなくなるため、私たちの目には「黒」に見えるのです。

    色を混ぜるほど光が引かれて暗くなる。これが「減法混色(引き算の混色)」です。

    CMYKの「K(黒)」が追加される謎

    理論上はCMYを混ぜれば黒になります。 しかし、実際のインクでは、 純粋な黒にならず、 少し濁った暗い茶色になってしまいます。 また、文章などで黒は多用されるため、 毎回三色のインクを混ぜるのは非効率です。 そこで、 引き締まった黒を表現するために、 キープレート(Key plate)として、 独立した黒(Black)インクが加えられました。 これが、印刷で使われる「CMYK」の正体です。

    なぜ白くなる?「光の三原色」加法混色の仕組み

    なぜ白くなる?「光の三原色」加法混色の仕組み

    次に、パソコンやスマートフォンの画面で使われる、 「光の三原色」を見ていきます。

    こちらは「加法混色」という、 色の三原色とは全く逆の仕組みで成り立っています。

    この違いを理解すれば、色の謎はほぼ解けたも同然です。

    スマホ画面の光RGB(レッド・グリーン・ブルー)

    光の三原色は、

    • レッド(Red):赤
    • グリーン(Green):緑
    • ブルー(Blue):青 の三色です。

     

    それぞれの頭文字をとり「RGB」と呼ばれます。

    テレビやPCモニター、 スマホのディスプレイは、すべてこのRGBの光で色を表現しています。

      「混ぜると変わる」のは光の足し算が理由

      光の三原色は、 色を放つ「光源」そのものです。

      そのため、混ぜれば混ぜるほど、 光のエネルギーが足し合わされ、 どんどん明るくなっていきます。

      • レッド + グリーン = イエロー
      • グリーン + ブルー = シアン
      • ブルー + レッド = マゼンタ

      そしてRGBの三色をすべて同じ強さで混ぜると、最も明るい「白(白色光)」になります。

      光を足していくことで明るい色を作る。 これが「加法混色(足し算の混色)」です。

      絵の具とは全く逆の現象が起きるのは、「物体(インク)」と「光」という色の正体が根本的に違うからでした。

      【一覧表】色と光の三原色の違いと使い分けのルール

      ここまで解説してきた二つの三原色の違いを、 一覧表で整理してみましょう。

      これを見れば、 もうCMYKとRGBで混乱することはありません。

      項目 色の三原色(減法混色) 光の三原色(加法混色)
      色の種類 シアン、マゼンタ、イエロー (CMY) レッド、グリーン、ブルー (RGB)
      混色結果 混ぜると暗くなり、黒に近づく 混ぜると明るくなり、白に近づく
      基本原理 光の反射と吸収(引き算) 光そのもの(足し算)
      主な用途 印刷物、絵の具、カラー写真 PCモニター、テレビ、スマホ画面
      通称 CMYK (黒を加える) RGB

       

      色の三原色と光の三原色、その用途の違い

      この表からわかるように、 二つの三原色は目的によって明確に使い分けられます。

      • 紙に印刷する場合 → CMYK
      • Webサイトや動画で表示する場合 → RGB

      この使い分けが非常に重要です。

      特にデザインをする際には、 最終的に何で表示されるのかを意識してカラーモードを設定する必要があります。

      まとめ:色の三原色と光の三原色の違いがわかれば世界はもっと面白くなる

      色の三原色と光の三原色の違いは引き算と足し算!混ぜると変わる色の謎

      今回は「色の三原色・光の三原色の違いはなぜ?」という疑問について、 その仕組みと理由を詳しく解説しました。

      • 色の三原色(CMY)は減法混色。光の引き算で、混ぜると黒になる。
      • 光の三原色(RGB)は加法混色。光の足し算で、混ぜると白になる。

      この「混ぜると変わる色の謎」の答えは、モノの「反射」を見るのか、「光」そのものを見るのかという根本的な違いにありました。

      この原理がわかると、日常の風景も少し違って見えてきませんか。

      なぜ夕焼けは赤く見えるのか。 なぜ舞台照明はあんなに鮮やかなのか。それらの現象も光の性質と深く関わっています。

      色の基本を知ることはデザインや印刷の仕事に役立つだけでなく、私たちの世界をより深く面白く見るための新しい視点をくれます。

      色の違いの謎が解けた今、ぜひ身の回りの色に注目してみてくださいね。